マイケル・ドリスの「朝の少女」 (灰谷健次郎 訳)


大学時代に姉に薦められて読んだ本。素敵な家族そして自然とともにのびのび生きる少女と弟のお話なのですが、最後がショッキングで色々考えさせられました。


今の世界でいう「文明」がない世界で、子供は大事なことを大人や自然から学んでいく。お父さんが子供に伝える言葉は、どれも自然なのに哲学的です。


結末にも触れるので、知りたくない方はこの先は読まない方がいいかしら。

これは、コロンブスの大陸発見と大きく関わっているお話です。

海や星、太陽と語り、文明とは無縁の世界に暮らす人々。そこに、コロンブス率いるヨーロッパ人たちが突然やってくる。


スペインではコロンブスは英雄です。バルセロナにもコロンブスの塔があるし、10月12日は新大陸発見の日でスペインでは祝日です。


けれども、ある日突然、生活が奪われてしまった人たちはどうなのでしょう。文明がもたらしたものは大きいけど、その裏には数えきれない犠牲がある。


特に、文末にあるコロンブスの日記は読んでいてぞっとする。

ヨーロッパ人の目線と先住民の目線。どちらの目線でものごとをとらえるかによって、事実も全然異なって見える。正確には、コロンブスが発見したのは「新大陸」じゃないし。もともと、ずっと前からそこに生活基盤を築いてきた人々がいるんだものね。


なんで急にこんなことを書いているかというと、全てのものごとの解釈は一つではないということを忘れていはいけないと思うから。ひとつの事柄だって、見る角度が違えば全然違う。だから、色々な意見を聞くのは大事だし、情報は多い方がいい。偏った考えに縛られることほど愚かなことはない。子供のころから、ずっと父に言い聞かされてきました。


邪念もあるし、そう何でも完璧にはいかないけれども、常に、そのことを忘れないようにしなくては!と思うのです。